忘れたくないから日記を書く

ジャニーズ初心者のブログ

カレーの話

 

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小学生のころ、とあるチャリティーイベントの露店でスリランカカレーを食べた。なんでも売上の一部だか全部だかをスリランカのどこかに寄付するらしい。なにせ小学生だから記憶があやふやで、古い上にローカル過ぎてインターネットを使っても詳しく調べることができない。もしかしたら記憶違いで、そのカレーは本当はスリランカのカレーですらないかもしれない。そのカレーの正体もチャリティーの意義も小学生の私にはどうでもよかった。ただそのカレーがとても美味しかった。辛い。一気には食べられないほどに辛い。小学生だった私にとって、これまで食べたものの中で一番辛かったかもしれない。しかしとても美味しい。なんだこれは。辛いのに美味しい。とても美味しい。辛いを苦痛だと思っていた私にとって、そのカレーは衝撃だった。イベントは不定期でやっていたのだが、目ざとく告知を見つけては両親にあのカレーが食べたいと頼み連れて行って貰った。

どういった経緯で情報を入手したのか分からないが、あのスリランカカレーを作っているシェフが家の近所にお店を出したことを知った。お店で食べるカレーは露店で食べるものと同じ味だった。辛い。とても辛いけれどやっぱりめちゃくちゃ美味しい。ご飯を境界線に2種のあいがけになっていて、食べ進めて行くと最後に2種のカレーが混ざり合って格別に美味しいのだ。親に頼み込んではそのカレー屋へ連れて行ってもらった。2種を混ぜるベストな割合を探ったり、逆にギリギリまで2つの味が混ざらないように食べたりした。どんな食べ方をしても、あのカレーはいつでも美味しかった。

中学生になり、いつのまにかそのお店が潰れていたことを知った。そう言えばしばらく行ってなかったな…と謎に責任を感じた。スリランカ人と思われるあのシェフはスリランカへ帰ったのか、はたまた別の場所にお店を移したのか、中学生のわたしには分からなかったし調べる能力もなかった。相変わらず例のチャリティーイベントは行われていたので、広告を読みながらスリランカカレーの出店が無いか探した。残念ながらそのイベントでスリランカカレーは食べられなかったし、以降あのスリランカカレーに出会うこともない。

 

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成人しても変わらずカレーは好きだ。たまに気まぐれで知らないカレー屋へ入ってみるのだが、やはりあの味には出会えない。もしかしてあれはスリランカカレーでは無かったのか?なんて疑い始めるくらい出会えない。そうしているうちに年月が経ち、脳内であの味を思い出すことが出来なくなった。残っているのはとても美味しかったという文字情報だけ。味が思い出せない。これじゃあもしあの味に再会しても気付けないじゃないか。とても美味しかったのに。残念だ。

現在勤めている職場の近くがカレー激戦区だと知り、近所のカレー屋を極めることにした。別に意味はない。お昼休みの暇つぶしと、ほんのすこしの冒険。写真を撮り感想をちょこちょこ残し、分類したり順位をつけたり、ひとり脳内カレーワングランプリを開催していた。今日行ったお店は以前からマークしていた。珍しいホワイトルーのお店で、口コミの評判がよい。お昼時で混んでいるかと思いきや、外観が少し入りづらいためかすぐ案内してもらった。

一口食べて驚いた。ベースが「あの」スリランカカレーの味。とても美味しかったけれどどうしても思い出せなかったまさに「あの」味。一口食べただけなのに不思議とすぐに思い出した。味覚と記憶はこんなに直結しているのか。アボカドとチーズでおしゃれにアレンジされているが、ルーの味は全くおなじ。こんなことってあるのか。探していたなつかしい味にこんな場所で出会えるなんて。

 

 

 

私が辛いものを好むようになった原点はあのカレーなんだと思う。そしてジャニーズを好きになった原点はタッキー&翼なんだと思う。好きだったカレー屋をなくした中学生の頃、テレビで見たタッキー&翼の夢物語に釘付けになった。なんていい曲なんだ。完全に主観だが、未だにあれを超えるJ-POPを私は聴いたことがない。若さ、輝き、エネルギー、強さ。ステージで2人が歌うPVに映り込むお客さんのなんて楽しそうで幸せそうなこと!私もあの中に混ざりたいと思ったが、田舎の中学生の私には不思議とファンクラブに入るという発想がなかった。もしかしてファンクラブの存在すら知らなかったんじゃないかな。10代と20代のほとんどはジャニーズに興味を持たず過ごしてきたが、タッキー&翼のステージを見るために毎年カウコンのテレビ放送だけは見ていた。16年間、私はタッキー&翼が好きだったんだ。あそこでひとつボタンを掛け違えていれば、私は夢物語出のタッキー&翼のファンだったかもしれないんだよ。大人になってひょんなきっかけでジャニオタになった。せっかくジャニオタになったんだから、中学生の頃に衝撃を受けたあの世界の本物を見たいと願った。せっかくジャニオタになったんだからと、ふたりのレジェンドの復帰を待っていたんだ。

ついに願いは叶わなかった。偶然あのカレーに再会したように、いつかまたタッキー&翼に会いたいと願う反面、今日私が再会したのは「あの」スリランカカレーではない。もうどうしたって会えない。なにもない。もうなにも。そういうことなんだ。たぶん。

 

あれから16年。あのスリランカ人のシェフは元気にしているだろうか。